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がん研究

基礎がん研究では、がん細胞の表現型や遺伝子発現、さらに in vitro および in vivo における微小環境との相互作用を多角的に解析し、発がん機構や悪性化の理解を深めるとともに、新たな治療法の開発を目指しています。こうした研究では、がん細胞の挙動や周囲環境との相互作用、腫瘍モデルの空間分布をタイムラプスで観察する必要があるため、高度な蛍光顕微鏡技術の活用が不可欠です。

高速かつ高感度な画像取得を実現するAndorのソリューションと、3D定量画像解析を可能にするImarisを組み合わせることで、がん研究における迅速な発見を支援します。

応用と技術

免疫療法

がん免疫療法は、患者自身の免疫系を利用してがん細胞を攻撃する治療法であり、免疫チェックポイント阻害剤やT細胞移植療法の臨床的成功を背景に、有望ながん治療法として確立されつつあります。がん免疫療法の成功は、実験モデルにおいて生体顕微鏡観察によって可視化できる、腫瘍内で起こる複数の細胞イベントに大きく依存しています。T細胞と腫瘍細胞の生体共培養系では、蛍光顕微鏡を用いることで細胞内イベントを詳細に捉えることができます。

バックイルミネーション型Sona sCMOs を搭載したDragonflyスピニングディスク共焦点顕微鏡は、高速撮像と低い光毒性を両立し、長時間観察を可能にします。そのため、免疫細胞とがん細胞の相互作用を観察するための優れたソリューションです。さらに、Imaris for Cancer Research パッケージを用いることで、細胞接触後の追跡、体積変化、挙動といった、実験中に発生する動的イベントを解析できます。

オルガノイド

オルガノイドなどの3D細胞培養技術は、生理的状態に近いヒトがんモデルとして機能します。こうした前臨床オルガノイドモデルは、基礎がん研究と、がん患者を対象とした治療法試験をつなぐ重要な役割を果たします。オルガノイドを用いることで、感染からがんの進行、変異から発がんに至るまでの過程をモデル化することも可能です。さらに、患者由来の正常組織や腫瘍組織から高効率に培養できるため、個別化がん治療計画の実現に向けた道を開きます。

オルガノイドの形態や挙動を詳細に評価するためには、共焦点イメージングが不可欠です。Dragonflyスピニングディスク共焦点システムは、倍率、照明、撮像モードにおける高い柔軟性を備えつつ、データ取得速度の向上を実現します。Imaris for Cancer Research および Imaris for Cell Biologists画像解析パッケージは、オルガノイドモデルを理解するための3D画像可視化、セグメンテーション、詳細な定量解析を可能にする多彩なツールを提供します。

腫瘍微小環境

腫瘍の研究では、血管、細胞外マトリックス、免疫細胞を含む腫瘍微小環境の可視化が不可欠です。腫瘍は常に周囲の環境と相互作用しており、そのイメージングによって、さまざまな要素間の複雑な相互作用が明らかになり、がんの進行や治療への反応に対する理解が深まります。こうした相互作用を研究するためには、3Dボリュームデータ、特に腫瘍細胞や血管などの腫瘍微小環境の特徴を単一細胞レベルで捉えたタイムラプス動画の取得が必要です。

このようなサンプルの生体内蛍光イメージングには、深部組織への高い浸透性を可能にする多光子顕微鏡が最適です。これらのシステムには、高速かつ高感度なバックイルミネーション型Sona sCMOsカメラ、または iXon EMCCDカメラが搭載されています。Imaris for Cancer Researchは、複雑なデータセットの3D多色可視化、対象物のセグメンテーションおよび追跡を可能にし、腫瘍をその自然な微小環境下で研究するための、理想的な画像可視化および解析ソリューションを提供します。

空間トランスクリプトミクス

細胞生物学における空間トランスクリプトミクスとは、組織や細胞内に存在する多数のRNA(またはその他の生物学的分子)を、2次元または3次元の空間情報と結び付けて検出する手法です。文献では、空間分解能トランスクリプトミクス、空間トランスクリプトミクス、マルチプレクシング、イン・シチュ・マルチプレックスイメージングなど、さまざまな名称で紹介されています。空間トランスクリプトミクスの主な利点は、遺伝子の発現位置と、その周囲の環境(微小環境)との関係を理解できる点にあります。がん研究においては、この強力な技術によって主要な発現遺伝子を特定することで、疾患の進行を予測することが可能になります。

Dragonflyは、in-situ 多重ハイブリダイゼーションに最適なソリューションです。広い視野を備えた Dragonflyスピニングディスク共焦点 顕微鏡は、組織ボリュームを迅速に取得できます。さらに、デュアルマイクロレンズディスクシステムと、Andorの高ダイナミックレンジ・高量子効率カメラ(バックイルミネーション型SonasCMOSiXon EMCCDシリーズなど)を組み合わせることで、サンプル内の微弱な信号から強い信号まで、すべてを確実に捉えることができます。

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がん細胞の運動性

がん細胞は正常細胞に比べて運動性が高く、この特性が腫瘍の転移に寄与することが知られています。転移はがん治療における最大の課題の一つであり、疾患の急速かつ制御困難な進行を引き起こします。細胞運動性の研究や、がん細胞の運動性増強に関与する遺伝子の同定は、がんの浸潤や転移に対する理解を深め、最終的にはがん患者に対する、より効果的な治療戦略の開発につながります。

高速・高感度バックイルミネーション型Sona sCMOsカメラ を搭載したDragonflyスピニングディスク共焦点顕微鏡は、生細胞イメージングおよび移動研究に最適なソリューションです 。Imaris for Cancer Researchは、細胞分裂を含む細胞の追跡 を 長期間にわたり可能にし 、速度、変位など多様な運動パラメータの解析を実現します 。

細胞骨格の研究

正常時および病態下における細胞骨格の研究は、がん細胞の挙動を理解するうえで極めて重要です。これまでの多くの研究により、細胞骨格が関与する正常細胞の挙動が、がん細胞では変化していることが示されています。細胞運動において重要な役割を担うことから、細胞骨格成分であるアクチンフィラメントや微小管は、複数の抗がん治療法の標的となっています。がん細胞が体内を移動する際に、これらの細胞骨格タンパク質をどのように利用しているのかを解明することは、関連するシグナルを制御する標的治療法の開発につながる可能性があります。

細胞骨格の研究では、その微細構造を捉えるために、SRRF Stream+に対応したiXon Life/iXon Ultra EMCCDSonaバックイルミネーションsCMOsなど用いた、超解像イメージングが可能な高精度の共焦点顕微鏡が必要です。Imaris for Cell Biologistsは、細胞骨格と他の細胞構成要素との相互作用を研究するための理想的な画像解析パッケージです。

がん研究のためのソリューション

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