ライフ・サイエンス
サービス
SRRF-Streamは、Andor iXon EMCCDカメラ専用の新しいリアルタイム超解像イメージングモジュールです。
マルチモーダルで、物理・ライフサイエンスの両分野に対応可能
広視野蛍光顕微鏡を用いて、SRRF-Stream搭載のiXon Life 888 EMCCDカメラで撮影した蛍光ラベル済みBPAE細胞の画像を比較したものです。x63接眼レンズとカメラズーム2xを使用し、560 nmの波長を照射しました。超解像度イメージング用に記録した100枚の原画像を入力データとし、最終的に0.5Hzのレートで超解像度画像を得ました。SRRF-Streamを使用しない場合の比較は、100枚の通常の広視野画像データの平均像です。実際の画像データは細胞のより広い領域を撮影していますが、部分的なラインプロファイル比較を分かりやすく表示するため、ここでは単一細胞の箇所のみを示しています。分解能が向上している事が一目瞭然です。
この蛍光標識されたU2OS細胞株*の画像比較は、Andor Dragonfly共焦点スピニングディスク蛍光顕微鏡とSRRF-Stream対応iXon Life 888 EMCCDカメラで記録したものです。488nm励起、x63対物レンズと更にズーム拡大x2を使用しました。従来にない解像力の向上により、有糸分裂紡錘体のを詳細に観察できます。これは、この領域を通して描画される強度ラインプロファイルの比較からも明らかです。
*U2OS細胞株を固定し、F-アクチンが見えるように抗αチューブリン一次抗体(緑、AF488)およびファロイジン(赤、ローダミン)で染色し、細胞核が見えるようにDAPIで染色しています。サンプル作成者:Klebanovych A.氏(Laboratory of Biology of Cytoskeleton, IMG of the AS CR, v.v.i.)
anti-NS5Aで染色した細胞にHCVを感染させました。ここでは、ワイドフィールド(WF)、構造化照明顕微鏡(SIM)、およびSRRF画像(広視野画像のSRRF)を比較しています。画像は、細胞の同じ領域をまったく同じ対物レンズと光路を使用して同じ顕微鏡で記録したものです。唯一の違いは、SIMは6.5mm画素のsCMOS検出器を使用して記録したのに対し、広視野および結果として得られるSRRFは16mm画素のiXon EMCCD検出器を使用して記録したことです。SRRFの解像力がより優れていることは明らかで、SRRFは従来の回折限界と比べ2倍以上改善されていることが示されています。SIMは理論的に従来の回折限界の2倍の縮小に限定されます。サンプルはUCLのGrove研究室のご厚意で提供いただきました。
有糸分裂を行っている哺乳類細胞。青はDNA染色、緑は微小管、赤は動原体です。左の画像は広視野zスタック、右の画像は同じものをSRRF-Streamで取得しています。サンプルは、ウォリックシャー大学のPhil Auckland氏のご厚意で提供いただきました。イメージングはロンドン大学ユニバーシティカレッジ(UCL)のHenriques研究室で行われました。
CellMaskで標識化し635nmのLED照明で撮影した生きているBSC-40細胞の200秒のタイムラプス。前半の100フレームは1秒露光の広視野イメージングに相当し、後半の100フレームは50枚の画像(露光時間は20ms)のSRRF-Stream処理から各フレームを生成するSRRF-Streamイメージングに相当します。サンプル作成者:David Albrecht氏(UCL、Ricardo Henriques研究室およびJason Mercer研究室)
mCherryで標識化し、ワイドフィールド顕微鏡を使用して2fpsで記録した生きているHeLa細胞のクラスリン被覆ピットの画像の比較です。最終的に生成される超解像画像ごとに100枚の生画像を記録した結果、2fpsの超解像画像フレームレートとなりました。SRRF-Stream画像内に小さく示されている強度ラインプロファイルは、150nm離れた構造の分解能を示しています。サンプル作成者:Caron Jacobs氏(UCL、Ricardo Henriques研究室およびMark Marsh研究室)
lifeActで可視化された分裂酵母株の3D投影モンタージュの比較です。まったく同じ露光時間で、標準ワイドフィールドとSRRF-Streamワイドフィールドで記録しました。酵母株はMohan Balasubramanian研究室(ウォリック大学)からご厚意で提供いただきました。サンプルはGautam Dey氏(UCLのBuzz Baum研究室)のご厚意で提供いただきました。
血小板、細胞膜(赤)、内頼粒(緑)の標準ワイドフィールド画像とSRRF-Streamワイドフィールド画像の比較です。サンプルはUCLのCutler研究室のご厚意で提供いただきました。
チューブリンGFPを発現する生きているHeLa細胞の静止ワイドフィールド画像に続いて、1fpsでの同じ領域のSRRF-Streamタイムラプス映像(20ms露出での50フレームのSRRF-Stream解析)が示されます。サンプル作成者:David Albrecht氏(UCL、Ricardo Henriques研究室およびJason Mercer研究室)
SRRF-Streamは、通常のサンプル調整方法で、既存の顕微鏡システムを利用して、低強度の励起光照射で回折限界を超える分解能画像をリアルタイムで取得する事が可能な手法です。SRRF-Streamを使えば、かつてない時空間解像度で、しかも低光毒性という細胞に優しい環境で、従来困難とされた細胞の構造や挙動の観察を行うことができます。
ロンドンユニバーシティカレッジ(UCL)のDr. Ricard Henriquesの研究室が最近開発したSRRF技術は注目に値するものでした。Andorは、同博士との綿密な連携の下で作業を重ねた結果、このSRRF技術を強化してiXon EMCCDカメラでの使用に最適なものとすることに成功しました。Andorは、先進的なGPU処理最適化技術の専門集団でもあります。今回の事例では、SRRFアルゴリズムを使って、既存のImageJベースSRRF処理ソフトウェア(NanoJ-SRRF)の最大30倍の処理速度を実現しました。この大幅な速度向上によって、データ取得とSRRF処理を同時に実行させることが可能となり、ワークフローが著しく改善されます。
SRRF-StreamとNanoJ-SRRFの処理速度の比較
このグラフは、100枚の元画像(1024×1024ピクセル)から4096×4096ピクセルのSRRF超解像画像を出力する処理速度を比較したものです。同じNvidia GTX GPUカード上で処理を実行させてSRRF-StreamとNanoJ-SRRFを比較しました。SRRF-Streamの処理速度がNanoJ-SRRFに比べて速いのはデータ取得とデータ処理を並列して実行できるためであり、それが結果としてワークフローの改善につながります。
カメラによるデータ取得に比べて処理が極めて速いため、SRRF-Streamを搭載したカメラは、広視野超解像イメージングのみならずリアルタイム超解像イメージングも可能にしました。
当社の研究室ではSRRF-Streamを徹底的に試験しました。ワークフロー改善効果に加えてさらに印象的であったのは、生細胞を超高解像度により広視野で捕捉する能力です。SRRFアルゴリズムをiXonの優れた性能とシームレスに結合させたことにより、世界最速の蛍光顕微鏡用超解像カメラの実用化に成功しました。
* The Nvidia GPU カードは、Compute Capability v3.0以上でかつ4GB以上のGPU RAMを内蔵する必要があります。AndorによるSRRF-Stream使用環境下でのテストでは、中級クラスのGPUカード(GTX 1070)でもiXonによるデータ取得を上回る速度でデータ解析を行うことができ、十分な性能を示すことを確認しています。
Provided you currently own an iXon Ultra 888, iXon Ultra 897, iXon Life 888 or iXon Life 897 model, Andor can upgrade your camera to unlock SRRF-Stream super-resolution microscopy capability.
PLEASE NOTE: If upgrading an iXon 888 model, you also need to request the SRRF-Stream Camera Optimization process.
In order to make SRRF-Stream widely accessible, it has been fully integrated into MicroManager(64-bit) open source microscopy software platform.
Andorラーニングセンターでは、お客様のイメージングニーズにお応えする当社の多彩な製品へのご理解を深めていただくため、さまざまな教育ビデオ、技術情報、ウェビナーを取り揃えています。また、学習の手始めとなる参考用として、最近アップロードされた記事の中からいくつかのリンク先を以下に紹介します。