オックスフォード・インストゥルメンツー事業部ページ
拡張

超解像イメージングモジュール iXon SRRF-Stream

SRRF-Streamは、Andor iXon EMCCDカメラ専用の新しいリアルタイム超解像イメージングモジュールです。

超解像イメージングモジュール SRRF-Streamの特長

マルチモーダルで、物理・ライフサイエンスの両分野に対応可能

  • リアルタイム: ワークフローを効率化でき、後処理も不要な「Live Mode」で可視化
  • 低い蛍光強度 (mW-W/cm2) :細胞生理研究の進化に欠かせない、生細胞の観察時間の延長が可能
  • 既存の蛍光物質が使用可能(GFPなど): ラベリングを単純化でき、フォトスイッチングも不要
  • 生細胞ダイナミクス: 1-2秒ごとのフルFOV超高解像度で撮影。範囲を絞れば10 fps以上も実現
  • コストパフォーマンス: 従来型蛍光顕微鏡をわずかな追加予算で超解像顕微鏡にアップグレード可能
価格を問い合わせる 技術資料を見る SRRF-StreamでiXonをアップグレードする

iXon SRRF-Stream の比較

ミトコンドリア

広視野蛍光顕微鏡を用いて、SRRF-Stream搭載のiXon Life 888 EMCCDカメラで撮影した蛍光ラベル済みBPAE細胞の画像を比較したものです。x63接眼レンズとカメラズーム2xを使用し、560 nmの波長を照射しました。超解像度イメージング用に記録した100枚の原画像を入力データとし、最終的に0.5Hzのレートで超解像度画像を得ました。SRRF-Streamを使用しない場合の比較は、100枚の通常の広視野画像データの平均像です。実際の画像データは細胞のより広い領域を撮影していますが、部分的なラインプロファイル比較を分かりやすく表示するため、ここでは単一細胞の箇所のみを示しています。分解能が向上している事が一目瞭然です。

有糸分裂

この蛍光標識されたU2OS細胞株*の画像比較は、Andor Dragonfly共焦点スピニングディスク蛍光顕微鏡とSRRF-Stream対応iXon Life 888 EMCCDカメラで記録したものです。488nm励起、x63対物レンズと更にズーム拡大x2を使用しました。従来にない解像力の向上により、有糸分裂紡錘体のを詳細に観察できます。これは、この領域を通して描画される強度ラインプロファイルの比較からも明らかです。

*U2OS細胞株を固定し、F-アクチンが見えるように抗αチューブリン一次抗体(緑、AF488)およびファロイジン(赤、ローダミン)で染色し、細胞核が見えるようにDAPIで染色しています。サンプル作成者:Klebanovych A.氏(Laboratory of Biology of Cytoskeleton, IMG of the AS CR, v.v.i.)

SRRFとSIMの比較

anti-NS5Aで染色した細胞にHCVを感染させました。ここでは、ワイドフィールド(WF)、構造化照明顕微鏡(SIM)、およびSRRF画像(広視野画像のSRRF)を比較しています。画像は、細胞の同じ領域をまったく同じ対物レンズと光路を使用して同じ顕微鏡で記録したものです。唯一の違いは、SIMは6.5mm画素のsCMOS検出器を使用して記録したのに対し、広視野および結果として得られるSRRFは16mm画素のiXon EMCCD検出器を使用して記録したことです。SRRFの解像力がより優れていることは明らかで、SRRFは従来の回折限界と比べ2倍以上改善されていることが示されています。SIMは理論的に従来の回折限界の2倍の縮小に限定されます。サンプルはUCLのGrove研究室のご厚意で提供いただきました。

有糸分裂2

 

有糸分裂を行っている哺乳類細胞。青はDNA染色、緑は微小管、赤は動原体です。左の画像は広視野zスタック、右の画像は同じものをSRRF-Streamで取得しています。サンプルは、ウォリックシャー大学のPhil Auckland氏のご厚意で提供いただきました。イメージングはロンドン大学ユニバーシティカレッジ(UCL)のHenriques研究室で行われました。

BCS-40細胞膜

 

CellMaskで標識化し635nmのLED照明で撮影した生きているBSC-40細胞の200秒のタイムラプス。前半の100フレームは1秒露光の広視野イメージングに相当し、後半の100フレームは50枚の画像(露光時間は20ms)のSRRF-Stream処理から各フレームを生成するSRRF-Streamイメージングに相当します。サンプル作成者:David Albrecht氏(UCL、Ricardo Henriques研究室およびJason Mercer研究室)

クラスリンピット

mCherryで標識化し、ワイドフィールド顕微鏡を使用して2fpsで記録した生きているHeLa細胞のクラスリン被覆ピットの画像の比較です。最終的に生成される超解像画像ごとに100枚の生画像を記録した結果、2fpsの超解像画像フレームレートとなりました。SRRF-Stream画像内に小さく示されている強度ラインプロファイルは、150nm離れた構造の分解能を示しています。サンプル作成者:Caron Jacobs氏(UCL、Ricardo Henriques研究室およびMark Marsh研究室)

酵母

 

lifeActで可視化された分裂酵母株の3D投影モンタージュの比較です。まったく同じ露光時間で、標準ワイドフィールドとSRRF-Streamワイドフィールドで記録しました。酵母株はMohan Balasubramanian研究室(ウォリック大学)からご厚意で提供いただきました。サンプルはGautam Dey氏(UCLのBuzz Baum研究室)のご厚意で提供いただきました。

血液

血小板、細胞膜(赤)、内頼粒(緑)の標準ワイドフィールド画像とSRRF-Streamワイドフィールド画像の比較です。サンプルはUCLのCutler研究室のご厚意で提供いただきました。

チューブリン

 

チューブリンGFPを発現する生きているHeLa細胞の静止ワイドフィールド画像に続いて、1fpsでの同じ領域のSRRF-Streamタイムラプス映像(20ms露出での50フレームのSRRF-Stream解析)が示されます。サンプル作成者:David Albrecht氏(UCL、Ricardo Henriques研究室およびJason Mercer研究室)

iXon SRRF-Stream アプリケーション

SRRF-Streamは、通常のサンプル調整方法で、既存の顕微鏡システムを利用して、低強度の励起光照射で回折限界を超える分解能画像をリアルタイムで取得する事が可能な手法です。SRRF-Streamを使えば、かつてない時空間解像度で、しかも低光毒性という細胞に優しい環境で、従来困難とされた細胞の構造や挙動の観察を行うことができます。


SRRF-Streamの観察対象

  • サブオルガネラレベルでのタンパク質構造の解明
  • 細胞内の1分子トラッキング
  • 細胞生理学の基礎となる個々の分子機構に対する洞察
  • 細胞機能モデルのアップデート

SRRF-Streamのアプリケーション

  • 個々のSNAREタンパク質機能を含めた膜融合メカニズム
  • シナプス小胞およびその内部のダイナミクス
  • 学習とそれに伴うシナプス可塑性による樹状突起棘の再形成
  • シグナル伝達プロセス、および細胞間コミュニケーションと分化
 

iXon SRRF-Stream によるワークフローへの効果

ロンドンユニバーシティカレッジ(UCL)のDr. Ricard Henriquesの研究室が最近開発したSRRF技術は注目に値するものでした。Andorは、同博士との綿密な連携の下で作業を重ねた結果、このSRRF技術を強化してiXon EMCCDカメラでの使用に最適なものとすることに成功しました。Andorは、先進的なGPU処理最適化技術の専門集団でもあります。今回の事例では、SRRFアルゴリズムを使って、既存のImageJベースSRRF処理ソフトウェア(NanoJ-SRRF)の最大30倍の処理速度を実現しました。この大幅な速度向上によって、データ取得とSRRF処理を同時に実行させることが可能となり、ワークフローが著しく改善されます。

SRRF-StreamとNanoJ-SRRFの処理速度の比較

  • 入力画像ピクセル数:1024×1024
  • SRRF画像出力に対する入力画像数: 100
  • 出力SRRF画像ピクセル数: 4096×4096
  • Nvidia GTX 1080 GPUカードを使用
Andor SRFF Stream Chart

このグラフは、100枚の元画像(1024×1024ピクセル)から4096×4096ピクセルのSRRF超解像画像を出力する処理速度を比較したものです。同じNvidia GTX GPUカード上で処理を実行させてSRRF-StreamとNanoJ-SRRFを比較しました。SRRF-Streamの処理速度がNanoJ-SRRFに比べて速いのはデータ取得とデータ処理を並列して実行できるためであり、それが結果としてワークフローの改善につながります。

カメラによるデータ取得に比べて処理が極めて速いため、SRRF-Streamを搭載したカメラは、広視野超解像イメージングのみならずリアルタイム超解像イメージングも可能にしました。

当社の研究室ではSRRF-Streamを徹底的に試験しました。ワークフロー改善効果に加えてさらに印象的であったのは、生細胞を超高解像度により広視野で捕捉する能力です。SRRFアルゴリズムをiXonの優れた性能とシームレスに結合させたことにより、世界最速の蛍光顕微鏡用超解像カメラの実用化に成功しました。

Dr Ricardo Henriques
Londonユニバーシティカレッジ 定量的イメージング・ナノ生物物理学グループ

iXon SRRF-Stream へのアクセシビリティ

SRRF-Streamへのアクセス方法

  • SRRF-Streamに対応したiXon LifeまたはiXon Ultra EMCCD
  • SRRF-Streamライセンスおよびインストーラー
  • CUDA対応NVidia GPU カード*
  • MicroManager(64-bit) フトウェアまたは Andor SDK2 (64-bit)
  • オプションPCワークステーション - SRRF-Stream対応のMicroManager(お手持ちのiXonカメラの製造番号とリンク)またはSRRF-Stream付きのAndor SKD2に加えて、試験済みの推奨GPUカードをインストール済みであること。

* The Nvidia GPU カードは、Compute Capability v3.0以上でかつ4GB以上のGPU RAMを内蔵する必要があります。AndorによるSRRF-Stream使用環境下でのテストでは、中級クラスのGPUカード(GTX 1070)でもiXonによるデータ取得を上回る速度でデータ解析を行うことができ、十分な性能を示すことを確認しています。

Can I upgrade my iXon camera to SRRF-Stream?

Provided you currently own an iXon Ultra 888, iXon Ultra 897, iXon Life 888 or iXon Life 897 model, Andor can upgrade your camera to unlock SRRF-Stream super-resolution microscopy capability.

  • Provide your serial number in the upgrade request form
  • Sales engineer will advise on PC and GPU requirements
  • Place an order
  • Receive SRRF-Stream upgrade package (installer and license) specific to your iXon serial number.

PLEASE NOTE: If upgrading an iXon 888 model, you also need to request the SRRF-Stream Camera Optimization process.

MicroManager Integration

In order to make SRRF-Stream widely accessible, it has been fully integrated into MicroManager(64-bit) open source microscopy software platform.

  • Outputs real time super-resolution images in Live Mode
  • Multi-dimensional - Integrated with Multi-channel, Z-stack and Time-series acquisitions
  • SRRF-Stream parameters readily adjustable alongside other camera parameters through ‘Device Property Browser
 

その他の資料

Andorラーニングセンターでは、お客様のイメージングニーズにお応えする当社の多彩な製品へのご理解を深めていただくため、さまざまな教育ビデオ、技術情報、ウェビナーを取り揃えています。また、学習の手始めとなる参考用として、最近アップロードされた記事の中からいくつかのリンク先を以下に紹介します。